1.ネロリはビターオレンジの花から抽出される精油
私たちのまわりには、いろいろな香りが存在します。どのような香りを好むのかは人それぞれ。しかし、まわりの人にも少なからず影響を及ばすため、TPOをわきまえて正しく使用する必要があります。ネロリもその一つです。
ネロリはビターオレンジ(ダイダイ)の花から抽出される精油(エッセンシャルオイル)のことです。ただ、ほかの柑橘類の花から採れる精油をネロリに含む場合もあります。その場合、ビターオレンジの精油を強調する意味で「ネロリ・ビガラード」と呼ぶことも知っておきましょう。こちらは、セビリアオレンジの花からも抽出され「ネロリ・ビガラーデ」とも呼ばれています。
2.名称はオレンジの種類や抽出部位による
ネロリが採れるのはビターオレンジの花だけではありません。また、オレンジの種類や精油を抽出する部位によっても名称が異なります。ビターオレンジの果皮部位から採れる精油は「ビターオレンジ」、ビターオレンジの葉や小枝の部位からの精油は「プチグレン」です。さらに、スイートオレンジの果皮部位から抽出した「スイートオレンジ」、スイートオレンジの花部位から抽出される精油「ポルトガルネロリ」の存在も知っておきましょう。
3.ネロリにまつわるエピソード
ネロリの名称は、ビターオレンジの花の精油を好んだアンナ・マリー・デ・ネロリ(イタリア・ネロラ公国の王女)に由来するといわれています。こちらのエピソードを語るとき、17世紀の歴史的背景を見逃せません。
当時、イタリア社交界で手袋に香りを付けるのが流行しました。特に、皮手袋はニオイをキツく感じるため、それを抑えるためにマスキングしたことが大きな理由です。ちなみに、こちらの手袋は、ネロラ公妃の名前にちなんで「ネロリの手袋」とも呼ばれていました。公妃ネロリは手袋だけでなく、あらゆる持ち物にオレンジの香りをつけていたとされます。そのため、まわりの貴族たちも公妃ネロリの影響を受けて、オレンジの花の香りに夢中になったといわれます。