柑橘類の実の秘密
柑橘類の押しも押されぬ代表選手はミカンですが、ミカンといえば手で皮をむいて、袋ごと口にポイッと簡単に食べられる便利なフルーツです。フルーツの多くは、野生動物に果肉を食べてもらって、タネを遠く広く運んでもらうために、美味しい実が生るようになったと考えられています。中にはダイダイのように酸っぱさと苦味のために食べるのには不向きな柑橘類もありますが、果実には胃の病気に効用が認められ古くから香料や薬用としても使われてきました。
柑橘類の実はつぶつぶがつまった袋がくっついて房を作っていますが、実は葉や葉の毛が変化してできたものだと言われています。
モモやサクランボをよく見ると、縦に一本の筋が通っています。あの筋は、一個の果実が一枚の葉からできた時の綴じ目の名残りなのです。柑橘類は外からだとよくわからないのですが、皮をむくと、袋のせなかに葉脈に似た白い筋がたくさんへばりついています。これは維管束といって、栄養分や水分を運ぶ管なのです。つまり、11枚ほどの葉が集まって房になったものが、柑橘類の実なのです。
一つの袋の中には、ジュースのつまったつぶがぎゅうぎゅうづめになって入っています。アサガオやヒマワリの葉には毛が生えていますが、柑橘類の中でも、例えばバンペイユなどは葉に毛が生えています。この葉の毛がふくらんで、その中にジュース(果汁)をたくわえるようになったのが、柑橘類のつぶつぶと考えられています。どのつぶも必ず袋の外側の白い維管束とつながっています。葉の内側の毛がジュースを貯め、葉がまいて袋になります。そして何枚かの葉から出来た袋が集まって房を作り、柑橘類の実が出来ているのです。
柑橘類の香りの秘密
柑橘類の実は果汁がたっぷりつまっていて、食用としても香料としても親しまれてきました。例えばダイダイからは、果皮がオレンジ油、花がネロリ、枝葉がプチグレインという精油が取れます。香料として食品や化粧品、アロマテラピーとして使用されています。